陸上男子100メートルの山県亮太(28=セイコー)が、9秒95(追い風2・0メートル)の日本新記録を樹立した。19年にサニブラウン・ハキーム(22=タンブルウィードTC)がマークした従来の記録を0秒02短縮。過去2年は腰痛、肺気胸、靱帯(じんたい)断裂、右膝痛など故障が続いていたが、「10秒の壁」を突破するだけでなく、一気に歴史を塗り替えた。9秒台は桐生祥秀(25)、サニブラウン、小池祐貴(26)に続き日本勢4人目となり、東京オリンピック(五輪)出場へ道が開けてきた。

男子100メートルで五輪代表3枠を巡る争いは激烈を極める。一方で、金メダル獲得を目標に掲げる400メートルリレーは、期待が膨らむ。五輪で頂点に立つために、土江五輪強化コーチは「(9秒台が)複数出てくれないと難しい」と個人の走力アップの必要性を指摘していた。言葉どおり、4人のメンバー全員を9秒台の選手で固めることも可能となった。世界陸連によると、100メートルの参加標準記録に4人以上が到達した国は他に米国、ジャマイカ、英国しかない。

◆東京五輪代表への道 各種目最大3人。参加標準記録を突破するか、世界ランキングで出場資格を満たすことが条件。その上で、日本選手権3位以内に入れば代表。それで3枠が埋まらない場合は、日本選手権の結果、世界ランキングの上位などの要素から選ぶ。