男子100メートルは佐賀陽(あき、青森・田名部3年)が準決勝で今季高校ランク1位の10秒36をマーク。続く決勝では追い風参考(4・2メートル)ながら10秒17の好タイムで優勝し、全国大会に弾みをつけた。

国立大志望の新星スプリンター、田名部・佐賀が衝撃の走りでスタンドを2度どよめかせた。これまでの自己ベストは10秒69。今大会の目標は10秒55だった。準決勝では「大会記録を出したいとかは思っていなかった」という無欲で、スタート直後から加速。10秒36をマークし、93年以来18年ぶりに大会新を打ち立てた。決勝では追い風4・2メートルで非公認だが、10秒17と高校生では異次元の数字を刻み、東北NO・1に輝いた。

初体験の速さだった。決勝は「今までに走ったことがないスピードで、体がボロボロになりました。腰椎分離が悪化してやばいです(笑い)」。優勝して7月末開幕の全国高校総体出場を決め、「完全に自分の予想以上の結果で驚いています」。今季高校ランキングトップだった10秒38を0秒02塗り替え、一気に全国注目選手へと駆け上がった。

田名部は部員同士で練習メニューを考案。「考えて走ることに重きを置いています」と頭を使った走りを磨く。5月末の青森県高校総体では100メートル、200メートルの個人2冠。昨秋の東北新人大会では100メートルで2位と好成績を残してきた。

男4人兄弟の次男で県外の高校には行かずに、自宅からバスで通える田名部に進学した。「下に2人の弟がいるので、親に金銭的な負担をかけたくなかったです。田名部高校も進学率が高く、2個上で東大に進学した先輩もいるので」と国立大を目指し、競技を続けている。全国高校総体では「決勝に進み、0秒01でもいいので、自己新を出したい」。青森の超新星が全国でも旋風を起こす。【山田愛斗】