男子100メートルの桐生祥秀(25=日本生命)が再出発した。28日、県営福井陸上競技場でのナイトゲームズ・イン福井の男子100メートルに今季最終戦として出場。10秒18(無風)で制した。

 

東京五輪では、100メートルは代表入りを逃し、400メートルリレーは決勝で途中棄権。不完全燃焼だった五輪後、初レースだった。4年前に日本人初の9秒台をマークした思い出のスタジアム。期待された再びの9秒台には届かなかったが、貫禄勝ち。「優勝できてうれしい」と笑顔だった。

危機感を抱く。今までは自国での五輪という一大イベントの後押しがあり、話題に満ちていた。だが、今後はそうはいかない。より結果を示し、ファンを増やす取り組みに着手しないといけないと考えている。10秒36の1着だった予選の2時間前には、小学生と50メートル走の対決を自ら企画。これも五後の新しい盛り上げ策だ。5秒87、本気のダッシュだったのは「スピード感を味わってもらうのは現役でしかできない」から。今後は競技の枠を超えたドリームマッチの実現にも思いをはせる。「サッカー、バスケ、野球、アメフト、ラグビーなどの選手にもやってもらえたら」。スプリント界の発展を願い、桐生は走り続ける。【上田悠太】