男子マラソンの前日本記録保持者で、6位入賞した東京五輪を最後に引退した大迫傑さん(30)が17日、現役復帰会見をオンラインで行い、復帰の決め手は昨年10月のシカゴ・マラソンで、東京五輪8位のゲーリン・ラップ(35=米国)の走りを見たことだったと明かした。

東京五輪からわずか2カ月で、2位に入ったラップの走りに「力強い。かっこいいな」と思ったという。「あこがれで目標で身近な選手。彼は2、3年前、足の故障で悩むなど、もがきながらやっていた。そういう選手が活躍すると刺激になる」と説明。「僕自身ももう1回、自分も、見てくれる人もワクワクする場所に立ちたいというのが決め手でした」と明かした。

レース復帰時期は未定。「マラソンは夏場ないので、秋、冬、来年の春とか。(周囲と)相談してから」とだけ話した。

現役引退後、心境の変化もあった。「楽しんで走るなど、文化としてのランニングに触れ、ランニングは素晴らしいと思ったと同時に、物足りなくなった。競技としての刺激もほしいなと」。さらに「後輩たちの背中を押せたらと考えていたが、自分が背中を見せて引っ張っていけば、日本陸上界はまた強くなっていくのではとの思いがあった。これから育っていく選手に途中まで伴走できれば、という思いもある」とも話した。

先日、公式YouTubeで「パリ(24年五輪)はもちろん、ちょっと期間が短いと思うけど、その後のロス(28年五輪)を狙えるような努力、準備をしてやっていけたら」と、6年後の五輪出場を目標に掲げた。五輪について「出たい気持ちはありつつ、甘くないというのが僕自身、一番分かっている。手探りでまずは向かってみたい」と慎重に言葉を選びながらも、努力していくとした。