男子やり投げで、27歳の崎山雄太(愛媛陸協)が、日本歴代5位の83メートル54をマークして優勝した。

1投目で、これまでの自己ベスト80メートル51を大きく上回り、大会新記録となるビッグスローを披露。「いったなと思った」と話した。

現役では日本歴代3位の新井涼平(86メートル83)、同4位のディーン元気(84メートルの28)に続く記録となった。「(上位は)皆、知った顔というか、自分とは違う(選手たち)と思っていたが、いざやってきたことを考えると、そう遠くないなと思いました」と自信を手にした。

奈良県奈良市出身。小学校では野球、中学ではサッカーをしていた。陸上で活躍していた姉の影響で、関西創価高に進学して陸上部に入った。

最初は走り幅跳びだったが、体育の授業でやり投げを経験。「学校で1番飛んで。それで面白いなと思った」。高1の途中からやり投げを選択。日大でも競技を続けてきた。

日大卒業後は、愛媛・今治明徳高の浜本一馬コーチに師事した。愛媛陸協に所属して、09年世界選手権銅メダルの村上幸史らを育てた名伯楽の指導を受けて、今年が5年目。ついに日本代表争いに割って入る位置まで上がってきた。

「体の不安なく練習できることが大きい」。

大学1年の時は、右ひじの内側側副靱帯(じんたい)損傷、同2、3年は腰痛に苦しんだ。20年夏からは左アキレス腱(けん)痛に悩まされて、21年6月の日本選手権後に手術。半年間は強く左足をつけない苦労も味わった。

昨年からようやく練習がこなせるようになった。今年3月にはオーストラリア合宿も経験して、一気に記録が伸びた。

身長178センチ、体重93キロ。4人兄弟の末っ子は、自分の武器について「体の使い方です。運動神経は他の人に負けているつもりはない。それなりにどのスポーツもできます」と話した。

今夏の世界選手権ブダペスト大会は参加標準記録が85メートル20だ。27歳は「年齢的にもいいと言われる時期なので、こういうチャンスをものにしたい。ブダペストも(24年)パリ五輪も。28年ロサンゼルス五輪ぐらいまではやっていきたい」と先を見据えた。【益田一弘】