<東京国体:陸上>◇4日◇味の素スタジアム

 成年男子3000メートル障害は篠藤淳(28=山陽特殊製鋼)が8分38秒31で国体初制覇を飾った。ラストの直線で武田毅(26=スズキ浜松AC)を追い上げ、フィニッシュでは思いきり胸を突き出した。0・02秒という僅差での逆転優勝だった。「7年ぶりの(全国)タイトルなのですごくうれしいです。兵庫県チームに貢献できたこともよかった」

 篠藤は中央学院大3年時の2006年に日本選手権に優勝。日本記録保持者の岩水嘉孝の連勝を5で止めて周囲を驚かせた。4年時の箱根駅伝では9区で快走。今も残る区間記録で走り中央学院大の3位に貢献した。

 だが、山陽特殊製鋼入社後は実業団選手として駅伝を最優先したこともあり、3000メートル障害は中途半端な成績しか残せなかった。

 転機は3年前。朝練習で走った後に障害を繰り返して飛ぶメニューにも取り組んだ。朝練習から障害を飛ぶ選手はあまり聞いたことがない。

 やはり3年前に陸上部の規模が縮小され、合宿などの予算も削られたが、逆境も自身の力に変えることができた。

 昨年は1万メートルで自己記録を更新し基本的な走力がアップ。今季は4月に8分32秒89と自己記録も7年ぶりに更新していた。「2006年は何も考えず怖いもの知らずで突っ込んだ結果でしたが、今回の優勝と4月の自己新はしっかりと下積みをした上に出した結果です。実のある勝利ですね」

 岩水を最後に途絶えている3000メートル障害の五輪&世界陸上代表派遣。そこに挑戦する資格を得た篠藤の7年ぶりの勝利だった。