バスケットボール男子のワールドカップ(W杯)で27日、1次リーグE組の日本(世界ランキング36位)がフィンランド(同24位)に98-88で逆転勝ちし、世界大会17年ぶりの歴史的1勝を収めた。

PG河村勇輝(B1横浜BC)が要所で3点シュート(3P)を立て続けに成功。25得点で勝利に導いた。チーム全体の3P成功率も初戦ドイツ戦の17%から39%に上昇。ホーバス監督は外角シュートの精度向上要因に「ペイントアタック」を挙げた。29日は2次リーグ進出を懸けて格上オーストラリア(同3位)に挑む。

勝負どころで河村、富永の3点シュートが次々と決まり、南国が沸騰した。最大18点ビハインドからの逆転劇。第4クオーター(Q)残り2分41秒、最も身長が低い172センチ河村が、マークについた213センチのマルッカネンから鮮やかな外角シュートを決めた。W杯での白星は、前身の世界選手権だった06年以来17年ぶり。6度目の出場で欧州勢から初めて勝利を奪った。

チーム全体の3点シュート成功率が勝因となった。2日前のドイツ戦から倍増以上の39%。ホーバス監督が目標値として掲げてきた40%をほぼクリアした。その要因には、外角と表裏、ゴール下への効果的なアタックがある。日本の武器である外角が警戒される裏をドライブで突けば、相手守備の意識はインサイドへ傾く。ノーマークに近い形で外角で打てる形を呼んだ。

ホーバス監督は「オフェンスバランス」という用語で説明。「今までは全然3Pが入らなかったから、ペイントアタックできなかった。でも富永が熱くなって河村も熱くなって、ペイントが空いた」とうなずく。河村も「トムさん(監督)のバスケを信じて戦い抜けば20点差だって追いつける」と自信をみなぎらせた。

選手たちが「世界一の練習量」と口をそろえるトレーニングも生きた。敗れたドイツ戦も後半は互角以上で、フィンランド戦は最終Qに35-15で大逆転。培ったスタミナで走り抜いた。今日は東京五輪銅メダルのオーストラリア戦。戦略を貫けば、NBA選手9人擁する格上撃破の可能性も上がってくる。【奥岡幹浩】

◆ペイントアタック コート上のフリースローラインとフリースローレーンに区切られた部分(ペイントエリア)に攻め込む攻撃。