女子ゴルフの“プラチナ世代”が来年の国内ツアーの勢力図を変えるかもしれない。

19年の最終戦となったツアー選手権リコー杯では、鈴木愛、渋野日向子の賞金女王争いが広く注目された。その一方で、プロ転向したばかりのルーキーが堂々の2位でフィニッシュしていた。10月の富士通レディースで史上7人目のアマチュア優勝を成し遂げた古江彩佳(19)だ。11月1日開幕の樋口久子・三菱電機レディースでのプロデビュー戦から4戦のみで2073万円も稼いだ。今季の賞金ランキングで54位。賞金シード50位以内に迫るものだった。

渋野は笑顔がトレードマークになっているが、古江の笑顔にも定評がある。古江があこがれてきた米ツアー9勝の宮里藍さんから動画を通じ「本当に笑顔がすてきだなと思っている」と評された。母校の滝川二高ゴルフ部で指導した角谷真吾監督にも「(古江の)笑顔と明るさは渋野選手を超える強さがある」と太鼓判を押された。実力と笑顔。注目されるために必要な要素を兼ね備えている。

3日から埼玉こだまGCで来季の出場権を保持していない選手が挑むQT(予選会)ファイナルステージが開催されている。6日までの4日間、来季ツアーの前半戦出場権を争う中には、先日のプロテストに合格した古江と同世代の安田祐香、吉田優利、西村優菜も出場中。安田は19年オーガスタナショナル女子アマ3位、アジアパシフィック女子アマ優勝の実績に加え、プロツアーでのアマ連続予選通過記録(10試合)を誇る実力者だ。

また吉田は18年に日本ジュニア、日本女子アマの2冠女王となった。安田、吉田とともにナショナルチームの一員として西村は昨夏のエスピリトサントトロフィー・世界女子アマチーム選手権(アイルランド)に出場。団体戦で日本史上最高位となる2位に貢献した。この“プラチナ世代”が来季ツアー出場権を得れば、20年は渋野をはじめ、勝みなみ、小祝さくら、原英莉花らの“黄金世代”とのレベルの高い争いが繰り広げられることになる。

古江は「子供の頃の夢だった賞金女王になりたい。今すごく“しぶこフィーバー”で盛り上がっているゴルフ界をさらに盛り上げられる第一人者になりたい」と口にしている。実質プロ1年目の渋野は初出場だったメジャーのAIG全英女子オープンを制し、国内4勝を挙げて賞金女王争いを展開した。古江ら“プラチナ世代”が1年目から活躍する可能性は十分にある。 20年の女子ツアーは“プラチナ世代”が「渋野効果」以上のインパクトを与えるかもしれない。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

9月1日、ニトリレディスのベストアマに輝きトロフィーを掲げる安田祐香
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