<第85回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京-箱根(5区間108キロ)

 早大が16年ぶりの総合優勝に向け、往路優勝の東洋大と22秒差の2位につけた。3区でエース竹沢健介(4年)が1時間1分40秒の区間新をマークして6位から2位に浮上し、4区で1年生の三田裕介が区間新の走りで続きトップに立った。5区で三輪真之(4年)が東洋大の柏原に抜かれ、往路2連覇は逃したものの、選手層の厚い早大には、渡辺康幸監督が出場した93年以来の総合優勝がくっきりと見えている。

 最後の箱根で優勝したい。その思いだけで、竹沢はひた走った。「少しでもチームに元気を与え、(後続を)離すのが僕の役割。その点ではまずまずだった」。左アキレスけん上部を11月に痛めて2区を回避するなど、まだ万全ではない。しかし、気力でカバーして3年連続の区間賞、4年目にして自身初の区間新をマークした。

 2区の尾崎から6位でエンジのタスキを受け取った。中大と東農大を軽くかわすと、そのまま快走。3・6キロ過ぎには、日大、中央学院大を抜いて2位に浮上した。後半はペースが落ちたが、渡辺監督の「最後の箱根だ。もう少し頑張れ!」のげきに歯を食いしばり、トップとの差を3分10秒縮めた。

 竹沢にあこがれて入学した1年生の2人は鮮烈にデビューした。1区の矢沢は区間賞で口火を切り、チームに流れを呼び込んだ。竹沢からタスキを受けた4区の三田は区間新の快走。「決してぶれない。自分の考えを貫いている」と証言する通り、尊敬する先輩と走れる最後の箱根で役目を果たした。

 5区を走った竹沢と同学年の三輪は2位でゴール。「竹沢を見ていたら、僕のレベルで陸上を続けるのは失礼」と、箱根を最後に競技の一線から退く。1年生だった06年はアンカーを務め、9位から13位に落ち、シード権を逃した。責任を感じて部をやめようとしたが、竹沢に「その借りは、箱根でしか返せない」と厳しく言われた。その悔しさを忘れず、粘りきった。

 往路のさまざまな思いは、3日の復路に結集する。渡辺監督は「往路優勝はもう昨年やった。下りでギャフンとやり返したい」。6区に山下りの専門家・加藤を配置し、1年生のエース格の八木も投入する。竹沢は「4年間、苦しい箱根だった。今年こそうれしい箱根にしたい」と、16年ぶりの栄冠を復路にゆだねた。【吉松忠弘】