<高校ラグビー:高知中央35-17山形中央>◇27日◇1回戦◇花園

 元日本代表大八木淳史ゼネラルマネジャー(GM=50)率いる高知中央が、4度目の挑戦で悲願の花園初勝利を飾った。“平成版スクール・ウォーズ”のような過去を乗り越え山形中央に快勝。今季限りでの退任が決定的な大八木GMの執念が、高知県勢13年ぶりとなる通算2勝目をもたらした。

 待ち焦がれた瞬間にも、大八木GMは冷静だった。高知中央の18点リードで迎えた終了間際。自軍ベンチの真上をボールが通り過ぎると同時に、ノーサイドの笛が響いた。花園に歓喜の赤い輪が広がる。大会最年少の梶山修平監督(27)は何度も両手をたたき、ガッツポーズ。大八木GMは携帯電話を取り出すと、電光掲示板の「高知中央35-17山形中央」を写し、歴史的勝利をかみしめた。

 「長かった…」。190センチの巨体を丸め大八木GMは勝利の余韻に浸った。07年の創部とともにGMに就任し5年目、白髪も増えた。ラグビー不毛の地で生徒と格闘した日々が脳裏をよぎった。不登校生徒や他クラブをやめた生徒など、「社会のシステムから落ちこぼれた子を中心に受け入れて始まった」と振り返る。強豪校のドロップアウト組も加わった2年目の08年度に花園に初出場。「ようやく部活動になった」と言う現チームで、全国の壁を乗り越えた。

 大八木GMの置き土産でもある。今季でGM退任は決定的で、芦屋大(兵庫)の特任教授に就任予定だ。電光石火の開始40秒トライなど2トライ、5ゴールのTB別役は「目標をかなえられた。GMからは『とにかく気持ちで行け』と言われました」と大八木効果を口にする。梶山監督は「大八木GMのおかげで全国の強豪校とも練習試合を組めるなど、チームは強くなることが出来た。今後は西山部長と(大八木イズムを)受け継いでいきたい」と言う。

 98年度の土佐塾以来の高知県勢2勝目は、楕円(だえん)のように揺れる少年の心を受け止めた大八木GMがもたらした。【佐藤貴洋】