<全国高校総体:陸上>◇第4日◇7月31日◇大分銀行ドーム

 陸上男子100メートルで小池祐貴(立命館慶祥3年)が10秒38の道高校新をマークし、2位に入った。優勝した日本高校記録保持者の桐生祥秀(京都・洛南3年)に0秒19差に迫る力走を見せ、これまでの道高校記録(10秒42)を塗り替えた。3位には高橋優(北海道栄3年)が入り、同種目で初めて表彰台に道勢が2人立つ快挙となった。

 小池がライバルに食らいついた。決勝の舞台。全国の決勝では毎回身につける鉢巻きをおでこにギュッとまいた。号砲とともに、どんどん加速する桐生の背中を必死に追いかけた。0秒19差で2位。ゴール後は真っ先に握手し健闘をたたえ合ったが「負けました。前半でついて行って、後半で抜いてやろうと思ってたんですが…」。悔しさをにじませた。

 予選からトップギア全開だった。10秒53を出すと、準決勝は10秒43と、自己ベスト10秒60を更新し続けた。勝負の大舞台に調子を上げていった。「ピーキングには自信があるので」と小池。道予選中に痛めた左太ももをしっかり完治させて、万全のコンディションで挑んだ。決勝の10秒38は道高校新記録。それでも「(10秒)2台は欲しかった」とどん欲だった。

 競技歴3年目。今大会に懸ける思いは強かった。「インターハイは高校生にとって1番の大会。高校生活の集大成を見せたかった」。中学までは野球をしていた。球技から陸上に転向したのは「会場を沸かせたい。みんなを驚かせたい」。そんな思いからだった。「まだ素人だけど、素人なりに頑張ってきた」。日本の高校生で2番目に足の速い男にまで成長した。

 負けっぱなしでは終われない。「楽しく走るのが一番大事」と話す小池だが、「それでもやっぱり勝ちにこだわる。彼(桐生)に負けたのはかなり悔しかったんで」と話した。桐生とはメッセージのやりとりをする仲で「普段は普通に友達」という。3週間ほど前にも桐生の記録が伸びていないことで「ケガでもしたのか」と尋ねて心配したほど。「すごい選手なのに全然気取るやつじゃない」。だからこそ桐生の存在は大きく、目標とし続けられる。あす2日、得意の200メートルでライバル桐生から念願のタイトルを奪い取る。【保坂果那】

 ◆道高校記録

 小池は北海道の高校生で初めて10秒4の壁を突破した。この日の10秒38で、品田直宏の道高校記録(03年、10秒42)を10年ぶりに更新。小池は5月の総体札幌地区予選200メートルでも高平慎士の道高校記録(02年、20秒97)を塗り替える20秒89をマークしており、100、200メートルの道高校記録保持者となった。