右ひじ骨折で水泳の世界選手権を欠場した萩野公介(21=東洋大)が復帰戦初日で2冠に輝いた。6月の欧州GPモナコ大会以来、159日ぶりの実戦で、400メートル、100メートル自由形ともに制して、復活をアピールした。

 400メートル自由形で3分51秒17と自身の日本記録より7秒、100メートル自由形も50秒82と2秒近く遅い。それでも、表情には心からの笑顔が広がる。「60点くらいだが、現時点の力を出して楽しめた」。159日ぶりの実戦。レース用のキャップをつけ、ゴーグルをつけ、そして泳げることがうれしかった。

 6月下旬のフランス合宿で右肘を骨折。欠場した世界選手権400メートル個人メドレーではライバルの瀬戸が連覇を達成した。悔しくて映像は見られなかった。「まったく焦りがないといえばうそ」と話すが、地道なリハビリと下半身強化を敢行。裏方のマネジャーも経験し、9月からは東洋大主将にも任命された。ケガを無駄にせず、心身ともにたくましくなって復帰戦を迎えた。

 23日までの今大会はあと5種目出場。27日からは高地合宿先のスペインに出発する。「最大限の力を発揮しないと金メダルは取れない。1歩1歩前に進みたい」。競泳界のエースが復活ロードを歩み始めた。