政府は22日、2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の新しい建設計画について関係閣僚会議を開き、優先交渉権者をA案に決定した。

 14日に日本スポーツ振興センター(JSC)が技術提案書のA案を新計画とし、設計、建築を進めていく。A案は建築家・隈研吾氏と梓設計、大成建設のグループで総工費約1490億円、工期は19年11月だった。

 JSCは19日に技術等審査委員会(村上周三委員長・建築環境専門の東大名誉教授)を開催し、両グループからヒアリングを実施。同日、7人の審査委員が1人140点の持ち点(980満点)で採点を行い、A案が610点、B案が602点だった。それを基にJSC大東和美理事長が選定。関係閣僚会議で承認された。

 安倍晋三首相は「A案に決定したと報告があった。世界最高のスタジアムへ、バリアフリーや日本らしさなど、引き続き全力で取り組んでいただきたい」と話した。

 遠藤利明五輪相は「新整備計画の基本理念に合った世界最高のもので日本らしい木材を使ったすばらしい案が選ばれた。ただ2案とも甲乙付けがたかった」と述べた。

 A案は、白紙撤回されたザハ案の際にスタンド工区を担当していた大成建設が参画。人材や鉄材など、当時契約していた業者をそのまま維持。さらに将来的に8万人のスタジアムを造るためのノウハウも、ザハ案時から蓄積していたため、有利に働いたとみられる。

 B案は建築家・伊東豊雄氏と日本設計、竹中工務店、清水建設、大林組のグループで総工費は約1497億円、工期は同じく19年11月までだった。