2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる、新国立競技場の聖火台問題を検討する第3回検討ワーキング・チームが8日、都内で行われた。

 この日は外部有識者を招いてのヒアリングが行われ、東京消防庁と大成建設などの共同企業体(JV)の関係者が参加。聖火台に関する基本的な考え方として(1)防災対策(2)設置場所の課題について話し合われた。

 東京消防庁からは、聖火台は消防法上、「炉」「裸火」の扱いになり、原則として周囲に5メートル以上、上方10メートル以上の空間確保が必要になる「仕様規定」の指摘があった。一方で、消防署長などが、「仕様規定」と同等以上の安全性を確保できると認めた場合は、それによらない「性能規定」から判断するとの見方も示された。

 設置場所については、3月25日に行われた第2回検討ワーキング・チームで、大会組織委員会から競技場上部への設置が最善だとの認識が出た。それを受けて(1)屋根の上部(2)スタジアム内部(3)スタジアム外の、3点について課題の整理が行われた。その中で大成建設側から、競技場の屋根への聖火台の設置は、建設の工期管理の面で厳しいという意見が出たという。

 聖火台のデザインと設置場所については、国際オリンピック委員会(IOC)の承認が必要で、その承認は大会開催の1年半前から取るという。20年7月24日の開会式から逆算すると19年1月になるが、大成JV側によると、その時期は屋根部分の鉄骨の組み上げが仕上がり段階に進んでいるという。その段階でIOCから聖火台のデザインと設置場所について承認を得て、屋根に設置する際に、耐荷重の面などで屋根の構造に問題があり、大臣の承認などを取り直す事態になった場合、19年11月末に完成という計画の実現が困難になるという。

 スタジアムの内部に聖火台を設置した場合は、構造上、設置は可能だが、約6万8000席の座席数を減らす可能性がある。またフィールド内に設置する場合は、大会中は会場内外から聖火が目視できることが望ましいという国際オリンピック委員会の規定に従うために、開会式後、どこに聖火台を移して設置するかという問題は残る。

 スタジアム外に設置した場合も、避難路の邪魔になる可能性などを考慮に入れないといけないという。

 今後は3回のワーキング・チームの内容を取りまとめた報告書を、今月末までに作成するという。