「JX-ENEOSウインターカップ2016」第47回全国高校バスケットボール選抜優勝大会は12月23日から東京体育館で開催される。女子日本代表の渡嘉敷来夢(25=JX-ENEOS)は07年の愛知・桜花学園高1年時からレギュラーとして活躍し3連覇を達成した。卒業後はJX-ENEOSの連覇に貢献。昨年からは世界最高峰WNBAに挑む。今年のリオデジャネイロ五輪では日本の20年ぶりベスト8進出に貢献。渡嘉敷にバスケット人生の原点ともいえるウインターカップの思い出を聞いた。(後編)

リオ五輪でシュートを放つ渡嘉敷
リオ五輪でシュートを放つ渡嘉敷

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 数多くの名選手を輩出した桜花学園。渡嘉敷は実家のある埼玉を出て愛知で寮生活を送った。バスケット漬けの日々だが、心が折れることはなかった。

 渡嘉敷 いやになっても逃げ場がなかった。実家は埼玉だし。でも、親元離れて逃げ道をなくすと決断したのは自分だし、うまくなりたくて強い高校を選びました。あとはチーム競技で1人じゃない。チームメートと話すことで、仲間から助けられました。

 名将の井上真一監督(70)の指導は厳しい。優勝候補だった2年時の国体準々決勝。26点を決めながら2点差で敗れた。井上監督からは「本当に強い選手だったら勝利に導ける。何かが足りない。お前はエース。波があってはいけない」と戒められた。

 渡嘉敷 今もその言葉は大事にしています。自分が30点、40点取っても、負けてしまえば意味はない。

 井上監督からは1年時から「おまえはいつか日本を背負う。そして米国に行ってプレーする。絶対に行って世界を背負え」と言われ続けてきた。高校2年で日本代表候補に抜てきされ、昨年からは世界最高峰WNBA(シアトルストーム)に挑戦している。

 渡嘉敷 最初は何を言ってるんだろうと思いましたが、だんだんと自覚が芽生えました。米国挑戦や五輪に出られたことは、井上先生の指導が生きています。

 リオデジャネイロ五輪では予選で全体4位の平均17・6得点の活躍でチームを20年ぶりにベスト8に導いた。

 渡嘉敷 次の東京五輪ではメダルを取りたい。メダルまで惜しかったと言われるのですが、惜しいもだめも変わらない。だから次は惜しいはいらない。メダルが絶対に欲しいです。

 日本がメダルを取るために、渡嘉敷からバスケットボール部の高校生にお願いがある。

 渡嘉敷 ウインターカップに出る選手には、五輪のチャンスがある。自分が五輪に出るんだとの気持ちで、向上心を持って練習をしてほしい。4年後は、メダルとみんなが思ってほしい。そうすれば日本全体のレベルが上がる。みんなで切磋琢磨(せっさたくま)して、東京五輪を迎えましょう。

 渡嘉敷の原点ともいえるウインターカップ。4年後の東京五輪候補たちの活躍が期待される。

「自分らしく」と色紙に応援メッセージを書き込んだ渡嘉敷
「自分らしく」と色紙に応援メッセージを書き込んだ渡嘉敷

 ◆渡嘉敷来夢(とかしき・らむ)1991年(平3)6月11日、埼玉県春日部市出身。小6の時に走り高跳びで全国優勝。中1からバスケットボールを始め桜花学園高では1年からレギュラー入りし、高校総体3回優勝、国体2回優勝、インターハイ3回優勝。高校2年時に史上最年少で日本代表候補に。10年JX(現JX-ENEOS)入社。昨年4月からWNBAシアトルストームとも契約。リオデジャネイロ五輪ではベスト8進出に貢献。193センチ、85キロ。