4連覇を狙うパナソニックの日本代表WTB福岡堅樹(24)が6トライを挙げ、リーグの個人1試合最多トライ記録に並んだ。前半19分に出場6試合目で初トライをマーク。50メートル5秒8の快足を披露し、11年12月18日ホンダ戦でNECのナドロ(フィジー)が記録した6トライに肩を並べた。7連勝のチームは9勝2敗の勝ち点43で暫定3位。

 くすぶるルーキー福岡がついに目覚めた。5-0の前半19分、ゴール前でSO山沢を見た。筑波大4年ながら今季からパナソニックでプレーする後輩が、インゴールへボールを蹴り込む。1学年先輩の福岡は対面の相手を一瞬で置き去りにし、転がるボールを押さえ込んだ。「山沢のことはよく分かっている。気持ちよかったです」。トップリーグ初トライで火が付いた。

 昨年の15人制W杯、今夏のリオデジャネイロ五輪7人制日本代表を唯一、両方経験した。先月の15人制欧州遠征も3試合で2トライ。だが、パナソニックでは出場5試合でトライはなく、仲間から「ジャパンでは取るのに」といじられてきた。それがリーグ最多タイの1試合6トライ。7人制で運動量に磨きがかかり「あと1つ(トライが)欲しかった」と余裕もある。

 福岡高では医者を目指し、筑波大医学群を受験も不合格。1浪して情報学群に入学した。日本代表フッカー堀江、SH田中らを擁する常勝軍団だが、この日は先発15人中5人が新人。24歳と“お兄さん”の福岡は「いずれ世代交代は来る。自分たちで組み立てられると確認できた」と収穫を語った。目指すは勝ち点10差の逆転V。王者の地力はまた、深まった。【松本航】

 ◆福岡堅樹(ふくおか・けんき)1992年(平4)9月7日、福岡・古賀市生まれ。5歳でラグビーを始め、福岡高3年時に花園出場。医者志望で複数の大学からの誘いを断り、1浪後に筑波大(情報学群)に進学。大学では2度の大学選手権準優勝に貢献。日本代表20キャップ。祖父は内科医、父は歯科医。175センチ、83キロ。