サントリーが勝ち点1差で追う首位ヤマハ発動機との全勝対決を41-24で制し、4季ぶりの優勝に大きく前進した。前半を4点リードで折り返すと、相手が得意とするスクラムでも要所で優位に立ち、後半はさらに点差を広げた。2試合を残し、早ければ次節にも優勝が決まる。

 サントリーが真っ向勝負で競り勝った。10点を追う前半15分、相手陣深くで迎えた最初のスクラム。日本代表4人を擁するヤマハ自慢の強力FWを押し込むと、一瞬の隙をつきフランカーのスミスが相手ボールを奪う。すぐに大きく右に展開、最後はWTB中■がインゴールに飛び込んだ。

 敵将清宮監督が「あそこさえ抑えていれば…」と悔やんだ場面。相手のお株を奪うスクラムでのターンオーバーに、沢木監督は「あれがゲームを通してヤマハさんのダメージにつながった」と胸を張った。これで流れを引き寄せると、前半のうちに逆転。後半は自陣で防御に回らされる時間が続いたが、集中した低いタックルで耐え、歓喜のホイッスルを迎えた。

 巻き返しの1年だ。かつては優勝が3度あるが、昨季は過去最低のリーグ9位に沈んだ。再建に向け、今季就任した沢木監督が取り組んだのが、目指す方向を全選手が共有することだった。倒れた選手は2秒以内に立ち上がることを徹底。遅れた選手はクラブハウス内に実名で張り出した。また、オールブラックスなど強豪チームの試合映像を選手に見せ、「自分たちならどう勝つか」を考える癖をつけさせた。WTBで先発した江見は「チームのラグビーナレッジ(知識)が上がった。それが大きい」と好調の要因を明かした。

 大一番を制し、4季ぶりの優勝が見えた。指揮官は「今日の勝利を価値のあるものにするためにも、残り2試合しっかり勝つ」。復権に向け、歩みを止めるつもりはない。【奥山将志】

※■は雨カンムリに鶴

 ◆優勝の行方 サントリーは来年1月7日に東芝、同14日の最終節で神戸製鋼と対戦する。ヤマハ発動機は近鉄、トヨタ自動車戦を残す。サントリーが東芝に勝利すれば、ヤマハの近鉄戦の結果次第で優勝が決まる可能性がある。現時点での勝ち点差は3。次節終了時に勝ち点が6以上開けば、最終節での逆転が不可能となり、サントリーの優勝が決まる。