準々決勝の壁は、思いの外に高かった。エース栗林未和主将(3年)の連続ポイントで好スタートを切った札幌山の手(北海道)だったが、前半だけで8本の3ポイント(P)シュートを許して、昨年3回戦で敗れた昭和学院(千葉)に55-91の逆転負け。栗林が両チーム最多32得点の奮闘も、U-18日本代表で栗林と同部屋だった相手エース赤穂ひまわり(3年)を軸とした多彩な攻撃を止められず、5年ぶりの4強入りを逃した。

 ライバル対決に敗れた札幌山の手のエース栗林は、あふれる涙を抑えきれなかった。一体感を欠いた40分。「チームをまとめることは出来たか」という報道陣の質問に首を振ると「それが敗因。最後までキャプテンになりきれなかった」と、声を震わせた。

 U-18日本代表の遠征で同部屋だった昭和学院のエース赤穂を、止められなかった。身長では188センチの栗林が4センチ上回るが、スピードと無尽蔵のスタミナに手を焼いた。赤穂を警戒するあまり、アウトサイドの守備が手薄となって、前半だけで8本の3Pシュートを許した。高校総体で1点差勝ちした相手に雪辱され「夏に勝って、甘く見ていた部分があったのかも」。第3クオーター(Q)には12連続失点と、守備が破綻した。

 攻撃では、赤穂と互角のマッチアップで32得点と孤軍奮闘したエースは「ひまわりに負けた。向こうは、ひまわりが起点となってチームが動いていたのに、自分は出来なかった。もっと攻める守備が出来ていたら」と自分を責めた。

 高校入学前は、バスケットが嫌いだった。「気持ちを変えてくれた3年間。バスケが大好きになった」と振り返る。高校ラストイヤーは高校総体3位、高校選抜8強。国際大会も経験した。今夏のリオデジャネイロ五輪で8強入りしたOGたちの姿に「自分も東京五輪を目指したいという気持ちになった」。4年後の五輪を見据える期待の星は「もっと自分を高めたい」。涙を糧に、進路先の富士通で技術を磨く。【中島宙恵】