Bリーグ2部(B2)東地区の仙台89ERSが、一枚岩になる。20日、仙台市内で今季からチームを率いる後藤敏博ヘッドコーチ(HC、50)が就任会見を行った。1シーズンでの1部(B1)昇格を目指すため、後藤HCはチームプレーを重視。日本人選手には複数ポジションをこなすことを求めた。

 初めてBリーグで指揮する後藤HCが、仙台を変える。「オフェンスでもディフェンスでも、チームで勝つバスケットをしたい」と言った。13年皇后杯で、女子Wリーグのトヨタ自動車を日本一に導いた。男女の違いはあるが、今季は杜(もり)の都でB1昇格の使命を背負う。

 昨季はテレビ解説を中心にリーグを見てきた。仙台は映像などで確認した。「まだ発展途上のチームかな、と思った」と印象を語り、ズバリ弱点を口にした。「組織で戦うところに欠けていた」。実際、昨季の仙台は12連敗、10連敗と低迷し、徐々にまとまりを失った。B1残留プレーオフ1回戦に敗れ、降格が決まった直後には、主将の志村が「チームが崩壊していった」と証言したほどだった。

 現役時代は日本代表を経験し、指導者としては日本女子代表コーチを務めた。カナダや、米国にコーチ留学もした。その実績を買ってオファーを出した、仙台の中村彰久球団代表(46)は「24、25歳の若い選手を獲得して、後藤HCに育ててもらいたい」と、昇格とともに新加入選手の育成にも期待を込めた。

 トヨタ自動車時代の「後藤色」も打ち出す方針。同チームの日本女子代表経験者でフォワード登録の栗原三佳(28)を、司令塔のポイントガードに起用してプレーの幅を広げさせた。「オールマイティーにやれば、選手は伸びる」と言い、複数ポジションをこなすことがチーム力アップにつながると考える。

 複数年契約の坂本ジェイ(30)と谷里京哉(22)の2人を除き、仙台は選手契約をまだ正式に発表していない。メンバー構成は不透明な部分があるが「ここで頑張れば、自分の評価は上がる」と覚悟は十分。組織力をモットーに来月中旬、「後藤89ERS」は始動する。【久野朗】