女子48キロ級で初出場の須崎優衣(18=東京・安部学院高)が優勝した。攻めまくって5試合中4試合がテクニカルフォール勝ち。後に五輪4連覇した02年の伊調馨(ALSOK)以来の高校生世界女王となった。

 須崎は優勝を決めると元世界女王で恩師の吉村コーチを肩車し、マットを駆け回った。初出場での世界一に「本当にうれしい」とほほ笑んだ。卓球の平野、張本らエリートアカデミーの仲間の活躍に刺激を受けていたといい、内心は「われこそは」と思っていたという。「アカデミー生がシニアの世界選手権で金メダルを取るのは私が初めて」と誇らしげだった。

 持ち前の攻撃力が光った。5試合を戦い、準決勝以外の4試合がテクニカルフォール勝ち。決勝では開始1分あまりでブク(ルーマニア)に後方に倒されて4失点したが、怒とうの攻撃を見せてテクニカルフォール勝ち。得意のタックルに加え、5月のアジア選手権以降に集中的に取り組んだローリングもさえた。「心に決めて厳しい練習をしてきた。強い信念が優勝につながった」と胸を張った。

 鮮烈な世界デビューを遂げ、飛躍に期待が高まる。左足のけがで戦列を離れている、リオデジャネイロ五輪女王の登坂と激しく争うことになりそうだ。東京五輪で実施する女子の最軽量はこれまでの48キロから50キロに上がる。あどけない笑顔で「筋力をつけて強くなりたい。次の大きな目標は東京五輪で金メダルを取ること」と高らかに宣言した。

 ◆須崎優衣(すさき・ゆい)1999年(平11)6月30日生まれ。千葉県出身。14年に43キロ級、15年に46キロ級、16年に49キロ級で世界カデット選手権を3連覇。48キロ級で昨年の全日本選手権、今年のアジア選手権を初優勝。日本オリンピック委員会が有望な中高生を寄宿制で育成するエリートアカデミーで学ぶ。身長153センチ。