9月3日に行われたF1第13戦イタリアGP決勝で2台ともにリタイアに終わったマクラーレン・ホンダ勢だが、その原因は2台で異なっていた。

 ストフェル・バンドールンは18番グリッドからスタートし、上位勢のピットストップにより一時は7位まで浮上。ハースやトロロッソ勢と実質10位争いをしていたが33周目にパワーを失ってピットに戻りリタイアした。これは予選で発生したのと同様のMGU-Kシャフトの折損が原因だった。

 ホンダの長谷川祐介F1総責任者は、部品ロットごとの品質管理の問題だ推測していると説明した。詳しい原因はファクトリーに持ち帰ってから調査する。

 「使用した距離も約200キロと同じで、折れた場所もターン5で同じでした。ストフェルに聞いたらバンプで跳ねると言っていましたから、そこから着地した瞬間にタイヤに掛かるトルクの過大な負荷が原因だと思われますが、あまりにも短命で壊れているので部品ロットの問題だと思います。フェルナンド(アロンソ)車の方は問題なく走っていますから、基本的にはそうだと思っていますが…。いずれにしても何が原因なのかを突き止めないと、このままレースには臨めません」

 なお、イタリアGPでトラブルが発生したバンドールンのパワーユニット2基も、毎戦交換部品であるMGU-Kシャフトを交換すれば次戦以降で問題なく使用できる見込みだ。

 19番グリッドからスタートしたフェルナンド・アロンソは、スタート直後にギアボックスのセンサーが壊れ、ギアのバックラッシュ(かみ合わせの隙間)を利用してクラッチ切断時間を極限まで短縮するクイックシフトと呼ばれる仕組みが使用できずに1周1秒以上のタイムロスを喫しながらの走行を強いられた。残り2周の時点で15位と入賞の望みがなかったため、次戦シンガポールGPに新品ギアボックスを投入するためリタイアを選んだ。

 しかしスロットル全開率が75%を超え今季最も厳しいと予想されていた超高速のイタリアGPであったにも関わらず、ウエットコンディションの予選で2台ともにQ3に進めるだけの速さを見せ、決勝でも最後方グリッドスタートのハンディキャップを負いながらも入賞圏まで挽回する力を見せたことは、ポジティブな要素だと言える。市街地サーキットで行われる次戦シンガポールGPでは好走が期待できると長谷川総責任者は語る。

 「特にストフェルは18番グリッドからコース上で見事にオーバーテイクしてくれてポイント圏内までいっていましたから、パフォーマンスとしては申し分のないところを示してくれましたし、(リタイアに終わってしまったのは)本当に申し訳なく思います。思ったよりも戦えたなというのはありますが、結局ポイントが取れていなければ意味がありません。次のシンガポールGPは我々のマシンパッケージの特性に合っていますし、スペック3.5の低速トルクも間違いなく効いてくると思いますし、良いドライバーが2人そろっていますから、良い成績が期待できると思います」

(米家峰起通信員)