<錦織のケガ>尺側手根伸筋腱の脱臼と裂傷。それぞれの腱は下層腱鞘(けんしょう)という「さや」で覆われており、腱鞘で尺骨上の定位置に押さえられている。それが過度な消耗などでゆるんだり、切れたりして、腱が定位置からずれるのが脱臼だ。IMGによると、錦織の場合は腱鞘は切れておらず、ゆるんだ状態だという。

 聖マリアンナ医大名誉教授で、日本テニス協会の別府諸兄(もろえ)医事委員長は「(腱鞘は)ゴムが伸び縮みをすると考えれば分かりやすい」と話す。保存療法は「そのゴムが自然と戻るのを待つ」ということだ。アキレス腱断裂の保存療法と同様だという。ただ、再発の可能性も捨てきれない。錦織も「再発したら手術と言われている」。別府委員長は「1年休むなど、時間をかければかけるほど、再発のリスクは減る」と時間をかけることが大事だとした。