違法賭博問題による無期限の試合出場停止処分から復帰した男子シングルスの桃田賢斗(23=NTT東日本)が苦しみながらも初戦を突破した。2年ぶりの日本最高峰の舞台に重圧は隠せない。インカレベスト8で日大の猪熊心太朗(21)に第1ゲームを先取された。第2ゲーム序盤も劣勢だったが、そこから開き直り、2-1と逆転勝利。1度しか負けていない5月の復帰後からは、区切りの60勝目に到達した。
手が震えた。先取点を奪った第1ゲームの2本目。桃田のサーブは「いつも通りの(ラケットの)場所に当てられなかった」と凡ミスでネットにかかる。不祥事もあり2年ぶりの大舞台。天才と呼ばれた男も想像を超えた重圧に苦しんだ。格下の大学生に攻め込まれ、第1ゲームは15-21で失った。
5月に復帰後、この日まで59勝1敗。失ったゲーム数もわずか6。初戦の第1ゲームを失ったショックは大きい。第2ゲームも4-8。崖っぷちに追い込まれたが「逆に開き直れた」と本来のプレーを取り戻す。相手のテンポを崩して要所でスマッシュ。第2、3ゲームを連取して逆転した。
初戦突破で、復帰後では区切りの60勝目。世界ランクは282位から50位までに浮上したが、まだ日本代表ではないため、世界トップの大会には出られない。元世界ランク2位にとって格下相手も多い。それでも1敗のみで、勝ち続けることは容易ではない。
「明日負けるかもしれないし、不安はある。心が折れそうなときは、支えてくれた周りの皆さんのことを考え、“ここで心が折れるわけにはいかない”と」。再びバドミントンができる感謝の思いが、心の強さになる。自分のためだけにプレーしていない者は強い。決勝進出なら2年ぶりの日本代表復帰が決まる。【田口潤】


