国際オリンピック委員会(IOC)は5日、スイスのローザンヌで理事会を開き、国家主導の組織的ドーピングがあったとしてロシア・オリンピック委員会(ROC)を資格停止とし、来年2月の平昌冬季五輪から同国選手団を除外することを決めた。一方で条件をクリアして潔白を証明した選手については、個人資格での参加を容認した。

 IOCが示した国旗や国歌の使用を認めない形での参加に、プーチン大統領は以前から「ロシアへの侮辱」と反発している。ボイコットの強硬論がある一方、選手の利益のため慎重な対応を求める声も出ている。ROCは12日にも同国選手が五輪に参加するかどうかを決める見通し。処分が長引けば2020年東京五輪への影響も懸念される。

 IOCの調査委員会が国ぐるみの不正を裏付ける証拠を示した報告書を理事会に提出し、処分が決まった。ROCのジューコフ会長のIOC委員資格を停止し、不正があった14年ソチ冬季五輪当時のスポーツ相、ムトコ副首相を五輪から永久追放した。調査費用などとしてROCに計1500万ドル(約17億円)の負担も求めた。

 記者会見したIOCのバッハ会長は「五輪に対する前代未聞の攻撃だ」とロシアを非難し「ボイコットは何も生まない」とけん制した。

 個人資格での参加可否は世界反ドーピング機関(WADA)やIOCの代表者で構成する新設の委員会が決める。違反歴がないことや大会前の検査を受けることが条件。

 ソチ五輪を巡っては、ロシアによる組織的な薬物投与や検体すり替えがあったとの疑惑が昨年浮上。WADAが国家主導の不正を認定した。同国はソチ五輪で金メダル13個、メダル総数33個を獲得し、ともに国別でトップだったが、IOCが実施した検体の再検査で違反者が25人に上った。金4、銀6、銅1のメダル剥奪が決まっている。

 IOCは昨夏のリオデジャネイロ五輪では参加可否の判断を各国際競技連盟に委ね、約280人のロシア代表選手が出場した。

 国際パラリンピック委員会(IPC)は、22日にロシアの平昌大会への参加可否を判断する。