女子で菊池悠希(ゆうき、27=ANA)が初の総合優勝を果たした。1000メートルで2位に入るなど安定感を示し、前日16日に平昌(ピョンチャン)五輪代表を確定させていた菊池家の五女純礼(すみれ、21=トヨタ自動車)に続き、三女も代表入りを決めた。四女萌水(もえみ、25=稲門ク)は選考会3大会を通じて結果が残せず落選。スピードスケートで五輪射程圏の次女彩花(あやか、30=富士急)を含めた日本初の姉妹4人同時出場は逃したが、萌水の無念の思いも力にする。競技後は男女計10人の代表が発表された。

 主役は菊池家の三女悠希だった。女子1000メートル決勝は、4人中4位で残り2周。そこからカーブで内側を突き、競り合いながら前の2人を抜き去った。1位は逃したが総合優勝で初の五輪を決め「素直にうれしい。実力が上がってきている」と笑みがはじけた。

 その裏で昨季全日本女王の四女萌水は、両手で目を覆いながら涙した。今季通して調子が上がらず、1000メートルも7位。4姉妹同時五輪出場を逃した責任を背負い込んだ。「4人で行けなかったのは私の責任。申し訳なかったと親に言いたい」。父毅彦さん(61)は「結果は結果として、彼女(萌水)なりに頑張った」と複雑な心境を明かした。

 都内で美容師として働く長女真里亜さん(32)を含め最近、家族7人がそろった日を毅彦さんは「記憶にない」と明かす。それぞれが自立しており、こまめな連絡で家族7人の絆をつないできた。ライバルだった姉妹2人に14年ソチ五輪代表の萌水は「2人が(五輪に)行くのは良かった。自分にできることは協力したい」。純礼は「萌水が漏れてしまったけれど、彼女の思いを背負いたい」と誓う。落選した四女の後押しも、日本女子初のメダル獲得へ大切な力になる。【松本航】