18年平昌(ピョンチャン)五輪代表最終選考会となるフィギュアスケートの全日本選手権が今日21日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで開幕する。20日は本番会場で公式練習が行われ、女子の本田真凜(16=大阪・関大高)がショートプログラム(SP)用に自らがデザインした紫の衣装を初披露した。五輪代表争いでは1歩リードする宮原らを追う展開で、優勝すれば初めての五輪が決定。最低でも表彰台が求められる。21日は女子とペアのSPが行われる。

 11月25日にオープンした会場に負けぬ、キラキラとした装飾が本田の上半身を彩った。氷上で体を温め、黒のジャージーを脱ぐと、とっておきの紫の衣装が披露された。そこから苦労していた3回転フリップの成功率を上げ、実りの多い最終準備を完了。「出るからには、自分の目標にしている五輪を目指したい」と柔らかい笑顔で言い切った。

 実戦は約1カ月半ぶりだ。11月初旬のグランプリ(GP)シリーズ第3戦中国杯を終えて日本に戻ると、SP「ザ・ギビング」の新しい衣装をデザイン。「ピンクを卒業して、今までにない感じを」と紫をチョイスし、生地にもこだわった。見どころは背中にさりげなく描いた金色の鳥。ちゃめっ気たっぷりに「(鳥のように)羽ばたけるように頑張ります」と笑わせた。

 見た目だけでなく、スケートも仕上げてきた。「嫌い」と公言するスピンの練習量を増やし、辛口の浜田コーチも「真凜にしてはよくやってくれた」と変化を認めた。理由は1つ。「自分の人生の中ですごく大きな課題が今、待っていると思う。後悔がないように練習できればと思って頑張りました」。五輪を本気で目指すため、甘さを捨てた。

 五輪代表争いにおいては、GPファイナルに出場した宮原らを追う立場だ。それでも諦めない。4年前、さいたまスーパーアリーナでの全日本選手権をスタンドで観戦し「4年後はあそこに加わりたい」と目を輝かせた。滑走順抽選で引いた最終30番も「この番号を大切にして滑りたい」と迷うそぶりすら見せずに歓迎。とっておきの勝負服と共に、上位のライバルたちをまくり上げる。【松本航】