樋口新葉(16=日本橋女学館高)は、右足首の痛みを必死に耐えていた。演技を終えると、すべての力を出し切ったように右膝をリンクについた。右手で氷をコツン、コツンとたたく。「『ありがとう』という気持ちだった。今できることは全力を出し切れた。表彰台に乗れないのは仕方がない。悔しいけど、次につながる」と気丈に口にした。

 SP4位で逆転V圏内。しかし前日22日の公式練習で状況が変わった。ルッツジャンプで右足首を痛めた。アイシングをしても、テーピングを施しても痛みはひかない。この日朝の練習後は右足をひきずった。演技までの時間にケアをして痛み止めを2錠服用。勝負のフリーに臨んだ。だが3回転サルコーが2回転になった。5戦連続200点超えを記録しているが、大一番で表彰台に届かなかった。「五輪にいけるかいけないか、分からないけど、祈りたい」と静かに言った。