同点トライまであと1メートルだった。7-12で迎えた後半ロスタイム。相手のラインアウトのミスからボールを奪い、FW陣が敵陣ゴール前1メートルで押し続けた。8分間に及ぶ連続攻撃の回数は63回を数えたところで、審判の笛が鳴った。ノットリリースザボールの反則を取られてノーサイド。初の単独優勝を狙った桐蔭学園フィフティーンの花園が終わった。

 今季は前3人の強さを武器に戦ってきた。主将でフッカーの原田衛(3年)、プロップ山本耕生(3年)、細木康太郎(3年)の高校日本代表候補のフロントローで花園でも勝ち進んできた。最後の8分間の攻撃でも、徹底的にFWで勝負をかけた。原田は「FWがゲインできない中で焦りはあった。でも、FWでコツコツ押していってトライを取りたかった」と悔しさをにじませた。

 BKリーダーのSO田村魁世(かいせい、3年)も「桐蔭の伝統である継続ラグビーで取りきれなかったのが悔しい。前半に自分のミスからトライを取られて、チームに迷惑をかけて申し訳ない気持ちでいっぱい」と目を潤ませた。

 最後の最後まで諦めずに63回に及ぶ連続攻撃でも届かなかった決勝。原田は後輩たちに向け「僕たちが越えられなかった壁を越えて、もっと厳しく激しいラグビーをしてくれると信じている」と力を込めた。