カヌー選手による禁止薬物混入問題で、リオオリンピック(五輪)カヌー・スラローム男子カナディアンシングルで銅メダルの羽根田卓也(30)が心境を語った。所属するミキハウスグループの新春祝賀会が12日、大阪市内で行われ「良いニュースを届けられるよう頑張る」と意気込んだ。ミキハウスからは所属する競泳の小関也朱篤(25)の暴力問題についての説明もあった。

 日本人初の五輪カヌーメダリストが、悪いニュースを吹き飛ばそうと意気込んだ。壇上の羽根田が「良いニュースを届けられるよう頑張ります」と力を込めると、約1200人から盛大な拍手を浴びた。スプリントの鈴木康大(32=福島県協会)が小松正治(25=愛媛県協会)の飲み物に禁止薬物を混入させた問題に揺れるカヌー競技について「悪い印象を払拭(ふっしょく)できるように」との思いを込めてあいさつしたという。

 種目は違うが、鈴木とは知り合いで「最初はびっくりして信じられなかった。許されない行為だし、残念」。被害を受けた小松には「ショックが大きいかもしれないけど、気持ちを切り替えて東京五輪に向かってほしい」とエールを送った。「アンチドーピングというよりもモラルの問題。意識を啓発できるイベントがあったら出たいし、自分でも発信したい」と貢献を誓った。

 羽根田は昨年9月の世界選手権(フランス)では7位と表彰台に届かなかったが「手応えはあった。その手応えを確実なものにしたい」。20年の東京五輪を見据え、今年は日本選手権とアジア大会の金メダルを目標に掲げる。「東京五輪を盛り上げられるような成績を残したい」。羽根田がカヌー界の信頼回復を目指す。【中島万季】