ヤマハ発動機(白組2位)が、3位で今季を終えた。28-10でトヨタ自動車(紅組2位)に逆転勝利。今季限りで引退するSO大田尾竜彦(35)のラストゲームに花を添えた。大田尾は試合後、仲間に担がれて応援スタンドにあいさつ。選手に囲まれると、背番号と同じ10回、宙を舞った。

 「普段通りにプレーできました。今はすがすがしい気持ちです。ヤマハにとって、この試合が来年以降の礎になると思います」

 7-3の前半28分、大田尾がキックパスを相手守備の裏を突いた。これに反応したCTBマレ・サウ(30)が走り込んでトライ。大田尾にパスを出したSH矢富勇毅(32)は「(大田尾に)呼ばれてるのも分かっていましたし、竜さんらしいアシスト。ヤマハのプライドが出た素晴らしい試合でした」と胸を張った。

 03年、矢富が早大に入学した時、大田尾は4年で主将だった。大田尾を追う形で矢富も07年にヤマハ発動機に入社。毎年、年賀状を送り合い、そこに添えられる言葉は「矢富が日本一のSHだと思っている」。矢富はこの言葉を励みに努力を重ねてきた。「そう言ってもらえることが光栄だし、またそうならないといけないなと思っている。忘れずにいたいです」。

 大田尾は今後、指導者を目指す。「日本のアジリティー(敏しょうさ)を生かした選手を育てていきたいです」。まさにそのタイプの矢富は「みんなが『あの人のために』って思える選手で、改めて偉大だと思います」と、大田尾への感謝を口にした。【大野祥一】