2020年東京五輪からボクシングが消える? 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(64)は4日、韓国・平昌(ピョンチャン)で開かれた理事会後に会見し、ボクシングを東京五輪の実施競技から除外する可能性を明らかにした。国際ボクシング協会(AIBA)が犯罪組織との関連が疑われるガフール・ラヒモフ氏(66)を新会長代行に選出したことや不可解な判定による八百長疑惑などを問題視したもの。100年以上実施されてきた五輪の「伝統競技」が、東京大会で消滅する可能性が出てきた。

 世界各国から平昌に集まった報道陣を前に、バッハ会長が警告を発した。「20年東京大会、18年ユース大会(10月・ブエノスアイレス)プログラムからのボクシング除外を検討する」。IOCが混乱が続いている国際ボクシング協会(AIBA)に対して、厳しい最後通告を突きつけた。

 昨年12月6日、IOCはAIBAに対して今年1月31日までの報告書提出を求めた。16年リオデジャネイロ五輪で相次ぐ不可解な判定があり、八百長疑惑が出た。規約違反を指摘されて昨年11月に呉経国会長(台湾)が辞任。組織のガバナンスも問題になり、IOCは分配金を含むすべての支払い停止を決めていた。

 AIBA側は1月下旬に副会長だったラヒモフ氏を新会長代行に選出。改善点などを含んだ報告書を提出し、同協会ホームページで「問題はすべて解決した」と発表した。しかし、これにIOC理事会は激怒。バッハ会長は「ガバナンス、資金面、審判の判定、ドーピング、すべて満足のいく内容ではない」と話した。

 新たにトップに就いたラヒモフ氏はマフィアなどの裏組織との関係がささやかれ、米財務省から「ウズベキスタンの代表的な犯罪者の1人で、ヘロイン売買に関わる重要人物」と指摘されている。「特にガバナンスは心配している」というバッハ会長の言葉には、ラヒモフ氏に対する不信感もある。同会長は「4月30日まで待つ」と報告書の再提出を求めた。満足いく内容でなければ、IOCはボクシング除外という強硬手段に出る可能性もある。五輪ボクシングがノックアウト寸前に追い込まれた。