新潟アルビレックスBBは79-72で横浜ビー・コルセアーズを破った。前日3日(81-86の敗戦)の雪辱を果たし、このカードを1勝1敗で終えた。順位は中地区5位のまま。スモールフォワード(SF)遥天翼(29)が初のMIPを獲得した。我慢比べの展開の中、第3Qに6得点するなど相手に流れを渡さない役目を果たした。前日に通算2000アシストを達成したポイントガード(PG)五十嵐圭(37)は、この日は9アシストをマークした。

 試合後、MIPのボードを手にしたSF遥は、控えめに笑った。「初めてもらいましたね」。新潟で2年目。昨季はMVPを1度獲得したが、MIPはここまで受賞経験はなかった。中地区最下位の6位の横浜に先勝され、絶対に落とせなかったこの試合。きっちりと白星を奪い返した中で、最も印象に残った選手として挙げられたことを喜んだ。

 存在を示したのは第3Qだ。40-37の開始28秒、3点シュートを決めて引き離しにかかる。56-55の残り3秒では、体勢を崩しながらもジャンプシュートを決めて58-55。このQ、新潟は4つのターンオーバーを犯した。速攻から9失点。「ちょっとした気のゆるみが出た」。庄司和広監督(43)は崩れる気配を感じていた。その流れを遥が食い止めた。

 力みはなかった。「今できることをやるだけ」。本職はアウトサイド気味のポジションだが、今節は2戦ともインサイド中心。外国人選手がコート内に1人のQで、スタートから出場した。「速さのある相手に対応できる選手として」(庄司監督)、相手の日本人ビッグマンとマッチアップ。自身のファウルは3つに抑え、ターンオーバーもゼロ。そして要所で得点。第1Qから3点差のまま続いた試合の流れで堅実にプレーし、チームを支えた。

 昨年末に痛めた左足首はケアを続けている。超音波治療とアイシングが日課。疲労が残るときもある。それでも「プレーできていますから」。チャンピオンシップ進出に向けて星勘定が始まってくる時期。連敗が許されない試合で、さりげなく仕事をした。【斎藤慎一郎】