女子レスリング・オリンピック(五輪)4連覇の伊調馨(33=ALSOK)は1日、自身が日本レスリング協会の栄和人強化本部長(57)からパワーハラスメントを繰り返し受けたとする告発状が、レスリング関係者から内閣府の公益認定等委員会に出されたことについて、所属先を通じて「告発状については一切関わっておりません」とのコメントを発表した。文書で「しかるべき機関から問い合わせがあった場合は、ご説明することも検討したいと思っています」とした。

 告発状によると、伊調は04年アテネ五輪と08年北京五輪を連覇した後、指導を受けていた栄氏の意に反して練習拠点を愛知県の至学館大から都内へ移動。(当時)男子代表フリースタイルコーチの田南部力氏(42)に警視庁や男子合宿で指導を受けた。栄氏が田南部氏へ指導をやめるよう命じたが、従わなかったため「言うことを聞かなければ出ていけ」などと脅した。さらに、警視庁の施設や男子合宿への出入りができないよう圧力をかけたとしている。

 協会はこの日、「伊調選手の練習環境を不当に妨げ、制限した事実はない。田南部コーチに伊調選手への指導をしないよう不当な圧力をかけた事実もない」とコメントを発表。しかし、田南部氏が男子代表コーチだったため、男子選手の育成、強化がおろそかにならないよう「注意喚起したことはある」と事実を認めた。伊調にも男子合宿への参加を禁じてないとしたが、練習後に指導を受けるよう伝えたことはあるとした。栄氏も告発内容を完全否定し、先行きが不透明だ。