柔道の世界選手権女子78キロ超級銀メダルの朝比奈沙羅(21=東海大)が28日、都内で記者会見を行い、4月1日から実業団のパーク24に所属すると発表した。大学在学中に実業団に所属するのは異例で、単年契約の契約社員として、遠征費などでサポートを受ける。

 初の単独会見にメガネをかけ、緊張した面持ちで臨んだ朝比奈は「海外だと五輪メダリストになって弁護士や医者になる選手が多いが、日本は制度的にもなかなか難しい部分がある。そういった選手の先駆けになりたい」と決意表明した。

 麻酔医の父と歯科医の母を持ち、幼少期からの夢が五輪金メダルと医者になることだった。昨年9月末で本格的に医学部受験に向けての勉強時間確保のために東海大女子柔道部を「卒部」した。大学に在学しながらフリーとなり、朝と夜に勉強時間を充て、夕方に稽古する独自の練習を続けてきた。同大男子柔道部と週3~4日の稽古は従来と変わらず、国士舘大などの出稽古で強化も図った。2月のグランドスラム・デュッセルドルフ大会などで優勝し、結果も残した。20年東京五輪後に現役を引退する意向を示しており「医学部受験が大変なのは十分分かっている。いばらの道で風当たりもあると思うが、屈せずに自分らしさを貫きたい。夢のまま終わらせずに、実現したいし、実現出来る夢だと思う」と力強く言い切った。

 パーク24は、朝比奈のセカンドキャリアの理解を示し、今回の契約に至った。同社は92年バロセロナ五輪王者の吉田秀彦氏が総監督を務め、今春には世界選手権女子48キロ級金メダルの渡名喜風南(22=帝京大)、女子63キロ級津金恵(22=筑波大)も進む。

 4月には世界選手権(アゼルバイジャン)代表選考を兼ねる全日本選抜体重別選手権(福岡国際センター)と全日本女子選手権(横浜文化体育館)を控える。朝比奈は「結果を残さないといけない立場であることは分かっている。プレッシャーと感じず、決意をもって臨みたい」と言葉に力を込めた。