通信制の埼玉・星槎国際高川口キャンパスが日本初となる「近代5種部」を創部することが5日、分かった。9日から始動し、20年東京オリンピック(五輪)などを目指す有望選手を強化・育成する。

 世界レベルの部活が誕生する。監督は太田雄貴らを育てたフェンシング元日本代表監督の江村宏二氏、コーチは近代5種元日本代表監督の才藤浩氏ら豪華な面々が務める。旧公民館を改修した校内でフェンシングと射撃(レーザーピストル)、川口市内のフィットネスクラブで競泳、運動場で陸上、陸上自衛隊朝霞駐屯地で馬術を行う。近郊には味の素ナショナルトレーニングセンターもあり、半径約10キロ圏内で全5種のトレーニングが可能となる。広報室長の合田晃治さんは「世界で活躍しそうな選手が五輪選手並みのサポートを受けられ、練習時間も確保出来る」と説明した。

 五輪競技でありながら知名度が低い近代5種。選手は練習施設の確保が困難で長時間移動を苦にしていた。競技人口と指導者も少なく、大半の選手は施設が整う自衛隊か警察官だ。高校では同競技の大会を実施しておらず、同部の目的はあくまでも五輪や世界選手権を狙うトップアスリートを育成すること。フェンシング女子サーブルW杯(ワールドカップ)銀メダルの江村美咲らも定期的に訪れ、練習に励むという。19歳以下の世界選手権に出場する転校生の有路萌さん(2年)は「これだけ恵まれた環境はない。苦手なフェンシングを克服して、一気に強くなりそうな予感」と期待に胸を膨らませた。将来有望な選手の強化が一気に加速しそうだ。

 ◆近代5種の日本勢の現状 日本協会の競技登録者は五輪競技団体の中で最少のわずか33人。ハンガリーや英国などの欧州勢が強く、五輪では68年メキシコ大会男子15位の槙平勇荘、16年リオ大会女子13位の朝長なつ美が最高。W杯では先月の米国大会男子6位の岩元勝平、昨年2月の米国大会女子4位の朝長が最高。

 ◆近代5種 近代五輪の創設者クーベルタン男爵が考案し、1912年ストックホルム五輪から採用。1日で5種を行い、総合得点で順位を競う。欧州では人気で貴族スポーツと呼ばれる。競技順は以下の通り。

 ▼フェンシング エペによる1分間一本勝負の総当たり戦。勝率により得点が増減。多くの選手と対戦するため集中力が必要。

 ▼競泳 200メートル自由形。基準値の2分30秒を250点として、1秒あたり2点が増減。瞬発力と持久力が求められる。

 ▼馬術 馬は抽選で選択。試乗は20分。12障害で300点満点からの減点方式。馬との相性もあり運も大切。

 ▼射撃&陸上(複合) 2種を交互に4回行う。射撃はレーザーピストルで10メートル先の的を狙い、50秒で5回命中させる。陸上は800メートルを4本で波乱も多い。