日本レスリング協会は6日、都内で緊急理事会を開催。五輪4連覇で国民栄誉賞も授与されている伊調馨(33=ALSOK)に対するパワハラ問題で、同協会の栄和人氏(57)が、選手強化本部長の職を辞任した。この日、同会に出席した栄氏が勤める至学館大の谷岡郁子学長が、栄氏から預かった辞表を提出し、理事会に受理された。

 同協会は、弁護士3人による三者委員会を設置。伊調本人、栄氏らを含む19人からヒアリングを実施。調査期間は約10年で、内閣府に提出された告発状に書いてある事項だけでなく、幅広く事象を対象とした。そのA4・37ページにわたる報告書がまとまり、この日、同協会の倫理委員会に提出された。

 その報告書によると、パワハラに認定されたのは4項目。<1>平成22年2月にNTCで、伊調に対し「よく俺の前でレスリングができるな」、などど言った。<2>平成22年9月の世界選手権で、田南部力コーチに「伊調の指導をするな」と言った。<3>平成22年、9月の世界選手権および11月のアジア大会の選手選考について、露骨な伊調外しを行ったこと<4>平成27年2月、NTCで田南部コーチに「目障りだ。出て行け」などと罵倒した、の4点である。

 これに対し、福田富昭会長ら会見に出席した役員すべてが起立し、「関係者と当事者にご心配、ご迷惑をかけたことをおわびします」と陳謝した。

 また第三者委員会は、提言として、<1>栄氏の処分<2>再発防止対策<3>選手とコーチ間のルール作り<4>代表選手選考の透明化<5>協会の運営の正常化の5項目を提案し、福田会長は「報告書についてのことは全面的に受け入れる」と話した。