男子の小関也朱篤(26=ミキハウス)が2分8秒45で優勝し、2年連続の平泳ぎ3冠を達成した。

 この種目の世界記録(2分6秒67)保持者、ライバル渡辺一平(早稲田大)との一騎打ち。前半から飛び出した。左隣に渡辺を見ながら、大きな泳ぎでグイグイと前へ進む。ラスト50メートルの勝負、最後に競り合いを制した。暴力問題で対外試合を自粛、その処分明けの大会で実力をいかんなく発揮した。

 「いや、もう、なんと言っていいのか。今回いろんな思いを背負って立たせてもらっているので、ここで負けたら水泳やめてもいいという思いでした。200メートルはレベルが高くて、ラスト25の勝負だと思っていました。タイム的には遅いですけど、勝負に勝って3冠をできてよかったです」

 大きく肩で息をしながらも、はっきりした口調で胸の内を吐露した。

 前日6日の午前はひやりとした。100メートル、50メートルと制して臨んだ3種目目の200メートル予選。「ノープランで臨みました。少し力を抜きすぎた」。2分12秒78と同6組3着でフィニッシュしたが、上位16人が進出する準決勝に残るかどうか、微妙な状況となった。ゴール直後から次の組をちらちら。「ちょっと遅かったかな。不安ですね。裏目に出ましたかね」。全体の14番目で何とか準決勝進出。藤森コーチに「あほか」としかられた。

 同午後の準決勝は、2分9秒96でしっかりと決勝に進出した。決勝に向けて「明日は勝負どころで勝てるように。決勝は接戦になる。ラスト50メートルが勝負どころ」と50メートル、100メートルに続く平泳ぎ3冠を誓っていた。

 不祥事を糧にしての頂点だ。昨年12月のスペイン合宿中、集合時間の食い違いから同じ所属の後輩を殴った。多大な迷惑をかけたことを猛省。ゆるんだ気持ちは完全に引き締まった。「いろいろお騒がせした。すべてを背負って泳いだ結果ですが、まだ足りない部分もある」。自らを見つめ直し、より謙虚な気持ちで競技と向き合っている小関。心も体も整った第一人者は、やはり強かった。