規格外の柔道家だ。柔道の五輪王者、故斉藤仁さん(享年54)の次男で、ジュニア国際大会(サンクトペテルブルク)100キロ超級金メダルの斉藤立(16=東京・国士舘高)が20日、渡航先のロシアから成田空港へ帰国した。

 高校2年で190センチ、155キロの大器は、到着ロビーでも圧倒的な存在感を示していた。国際大会初出場で4試合オール一本勝ちの鮮烈なデビューを飾ったが「ちょっと、びびった…。試合前の音楽もうるさいし、これが国際大会かという雰囲気だった。相手も2メートルぐらいで見た目も怖かったけど、柔道では『自分の方が強い』と思った」と、初々しく振り返った。

 体格は小5で父を超え、いまだ成長途中だ。現地では食事に困るかと思ったが「意外においしくて食べ過ぎた」と後悔。ジャガイモスープにはまり、体重は160キロ近くまで増量した。ベスト体重が150キロのため危機感を抱き、18日から夕飯抜きで減量に励んでいる。しかし、機内食は「食べた」と告白し、「少ないから食べたに入らない」と持論を展開した。

 さらに、機内はエコノミー席で、その体格から人に迷惑をかけてしまった。「隣のおっさんがキレてました。狭そうで、大分キレてました。申し訳ないです」と謝罪した。

 15年1月に父が死去後、柔道に対する考え方が変わり「お父さんの偉大さが分かった」という。今大会でも、父直伝の体落としは「世界で通用した」と胸を張った。20年東京五輪も視野に入れ「みんなに『無理』と言われるけど、それを覆したい」と前を向く。

 取材が終わると、大量の汗をハンドタオルで拭き取った。「早く(大好物の)すしを食べたいです」。既に減量のことは忘れたかのように笑顔で帰路に就いた。