競泳界国内初のドーピング陽性となった川崎駿(22=駿台クラブ)が、7カ月の資格停止期間を終えて、復帰レースに臨んだ。

 男子50メートル自由形予選8組2コースで登場して23秒57。自己記録より1秒18遅れて、44位で予選落ち。昨年9月の国体以来8カ月ぶりのレースを終えて「結果はめちゃくちゃでしたが、また水泳ができてよかったです。ただ最初なので、すごく(周囲の)視線を感じました」と話した。

 昨年9月の日本学生対校選手権で、日本アンチ・ドーピング(JADA)の検査を受けて陽性となった。「最初に電話が来た時は、正直、何を言われているか、分からなくて。いたずら電話なのか、と思いました」と当時の困惑ぶりを振り返る。明大4年で卒業後の就職先も決まっていたが、それも取り消しとなった。「先のことが何も見えなくて…。もう水泳はできないかなとか。本当にどうしようと思った」と口にした。

 資格停止期間は昨年9月21日から原則4年間。「練習はしてもよかったんですが、どうしても気持ちが入らなくて…。月に2、3回しか泳げなかった。ずっと外に出ないで、家に引きこもっていました」。

 川崎は、故意ではないこと、摂取していた海外製サプリメントの成分表に記載されていない禁止薬物が混入していた(汚染製品)ことを証明して、停止期間は4年から7カ月に短縮された。そして停止明けの今大会に出場した。「わざとじゃない、故意じゃないことを証明できて、うれしかったです。応援してくれる方がいて、もう1度頑張ってみようと思いました」。現在は2度目の大学4年生を過ごしながら「まずは自分のレベルをベストまで戻したいです」と、自分自身と向き合っている。

 競泳初のドーピングによる資格停止から復帰した川崎は、言う。「僕も甘いところがあって、禁止物質が出て、残念だった。僕なりに気をつけていたつもりでしたが、それでもひっかかってしまった。(暫定的資格停止中の背泳ぎ)古賀(淳也)選手も同じような状況になっているので、みんなが注意するようになってほしいです」と口にした。