男子ハンドボール界の新星、部井久アダム(19=中大)が、さらなる飛躍を目指して欧州へ渡る。部井久は11日、都内で行われた男子日本代表の愛称「彗星(すいせい)ジャパン」の発表会見に出席。会見後、世界最強リーグといわれるフランス1部のセッソン・レンヌと契約し、7月に渡欧することを明かした。

 部井久にとっては、予定通りの欧州行きだ。福岡・博多高時代から「欧州でプレーする」ことを目指し、卒業前の3月には3週間、トライアウトを受けるために欧州に渡った。進学先に中大を選んだのも、バレーボール日本代表の石川祐希(22)のように大学に籍を置きながら海外でプレーができるから。「大変だと思うけれど、楽しみ。すべての面で成長したい」と、出発を待ち望んだ。

 昨年7月の日韓戦で「史上初の高校生代表」としてデビューした部井久は「目標の東京五輪まで、あと2年しかない」と話す。2年後に世界の強豪と互角に渡り合うため、2年契約して本場でプレーを磨く。

 フランス1部でプレーする日本代表の土井杏利(28=シャルトル・メトロポール)から「絶対に謝るな」と言われた。「日本人が、なめられているのが分かるんです。だから、堂々とプレーする。謝らずに、そっちが悪いぐらいに思わないと」と話す。シュートのスピードでは本場の関係者を驚かせたが、全体のプレーは「まだまだです」。世界のトップを直接ぶつかることで、得ることも多い。

 欧州行きを前に、13日のドイツ戦(徳島)から日本代表の若いエースとして6月の5連戦に挑む。16日対ドイツ(東京)、25日対韓国(ソウル)、29、30日対ブラジル(東京)。「トップの国とやれるのは、ワクワクする。いい形で5試合を戦いたい」と話す。

 小学生の時に福岡県のタレント発掘事業に参加し、7つの競技で最高のS評価を獲得した。中から「一番おもしろかった」ハンドボールを始めて丸6年。東京五輪とハンドボールへの思いは熱い。88年ソウル大会以来の出場となる東京五輪。「歴代の先輩たちの悔しい思いを背負って戦わなければいけない」と、2年後に向けての気持ちを言葉にした。