世界ランキング48位の日本男子が、同10位でNBA選手2人を擁するオーストラリアに大金星を挙げた。1964年東京オリンピック(五輪)も含めて5連敗中だった強豪の猛追を振り切った、オーストラリアへの初勝利に、米国・ゴンザガ大でプレーする八村塁(20)は「日本にとっても大事な1勝」とかみしめた。

 これまで同予選4戦全敗中でB組4カ国中4位と、ワールドカップ(W杯)出場に向けて崖っぷちだった日本男子は、B組3位の台湾と勝敗数で並んだ。7月2日の台湾との直接対決で勝利したチームが、各組3位までが進出するアジア2次予選へと駒を進める。

 203センチの八村に加え、4月に日本国籍を取得した210センチのファジーカス・ニック(33=川崎ブレイブサンダース)も同予選に初出場。八村は第1クオーター(Q)から13得点を挙げ、チームを勢いづける。センターのファジーカスも第2Qに3点シュートを2本連続で決めるなど気迫のこもったプレーを見せ、トータル12本のリバウンドを獲得。新加入の2人が攻守でけん引し、八村は24点、ファジーカスは25点と得点を量産した。ファジーカスは「3点シュートの連続でちょっと(勢いに)乗れた。打つシュートをこの試合の中で見つけることができた」と振り返る。

 高身長の2人が加入し、日本の長年の弱点だったリバウンドの強化にもつながった。11月に同予選オーストラリアとのアウェー戦で敗れた際には、リバウンド数で27本の差をつけられていたが、今試合では6本差にまで差が縮まった。ゴール下での2人の得点力、安定感にはチームメートも信頼を寄せる。司令塔の富樫勇樹(24=千葉ジェッツ)は「オフェンスリバウンドを取れることで、シュートチャンスを与えないことになる。ディフェンスで自分たちもストレスなくできたことで、シュートの精度も上がったのではないか」。同じく司令塔の篠山竜青(29=川崎)も「今まではいいディフェンスをしてもリバウンドでやられてしまって、メンタル的にも我慢しきれないことがあった。彼らが加入したことで、いいディフェンス(をして相手にいい体制でシュートを打たせないこと)がディフェンスリバウンドにもつながる。今日の勝ちは自信になった」。田中大貴(26=アルバルク東京)は「今まではガード陣がかき回さないと点が伸びなかったが、今回は2人が点を取ってくれた。言い方は悪いかもしれないですけれど楽になった」。

 指揮を執るフリオ・ラマス監督(54)は「2人が加入して、チームの得点源が生まれた。過去に1度も勝てていなかったチームに勝てたことは自信になる。レベルをもう1段上げて行けるように」と台湾戦、2次予選を見据えた。さらに「これに渡辺が加入したら、このチームはもっと変わっていく」と米国・ジョージワシントン大を卒業し、サマーリーグ挑戦を表明している渡辺雄太(23)にも熱い視線を送った。

 19年W杯は東京五輪の予選も兼ねる。東京五輪出場に向けては、アジア1次予選、2次予選を突破し、W杯に出場して出場枠を自力で得る険しい道に加え、開催国枠で出場する2つの道がある。開催国枠については、国際バスケットボール連盟(FIBA)は無条件では五輪開催国枠を与えていない。かつてFIBAから資格停止の制裁を受けた日本は、協会のガバナンス、リーグの統一を実現。残る条件としては代表の強化を示すことで、W杯で16強程度の成績を残すことが必要とされている。代表強化のアピールの場としても、今予選やW杯は重要な意味をもつ。開催国枠を適用するかどうかは、19年夏の中央理事会で最終判断が下される。