昨年世界選手権銅メダルで世界記録2分6秒67を持つ渡辺一平(21=早大)が意地の金メダルを獲得した。

 得意の後半に加速し2分7秒75の大会新で優勝。「世界記録を考えず、会場の雰囲気を感じて、レースを楽しんだ」と笑顔を見せた。

 ピンチだった。7月に体調を崩す。長い距離の練習は十分に積めなかった。大会前は「気持ちが高ぶって、200メートルが楽しみ。(平泳ぎは)日本のお家芸として、小関さんとワンツーを目指したい。僕がワンで」と強気に言ったが、調子は今ひとつ。第1日の100メートルはメダルを逃した。この日の午前中の予選も2分12秒15と、小関より2秒以上遅いタイムだった。

 そんな状況でもポジティブな世界記録保持者はあきらめなかった。かつて回転ずしで50皿近く食べたパワーも健在。土壇場で底力をみせた。

 レース後、インタビュアーを務めた平泳ぎで五輪連続2冠の北島康介氏(35)から「日本の平泳ぎをたくしていいですか」と後継者の指名を受けた。「頑張ります」とたすきをつなぐ覚悟をみせた。

 2年後の東京オリンピック(五輪)は自身の五輪記録、世界記録を更新しての金メダルが目標。「こういう(盛り上がった)会場の雰囲気の中で取りたい」と、表情を引き締めた。