新生レバンガが白星で船出した。バスケットボールBリーグのレバンガ北海道は16日、稚内市総合体育館でジョゼ・ネト新監督(57)の新体制下で初実戦となる横浜ビー・コルセアーズとの練習試合に臨み、80-79で競り勝った。北海道胆振東部地震の影響で、9日まで行われたアーリーカップ北信越大会を欠場。対外試合が約1週間遅れ、急ピッチでチーム作りを進める中、指揮官が目指すディフェンスを土台にしたスタイルで“初陣”を飾った。

逆転勝利を告げる試合終了のブザーが鳴っても、ネト監督の頬はゆるまなかった。派手な喜びはなく、スタッフと握手を交わすだけ。観衆777人へのあいさつでも「まだまだ練習が足りない。1クオーター(Q)のディフェンスは良かったが、正直まだシーズンに向けて準備ができていない」と表情は厳しかった。

就任1カ月弱だが、指揮官が掲げる理想の片りんは見せた。個々のスキルに依存しない、鍛え上げた体によるディフェンスがチームの「土台」。ネト監督は「4Qに立て直せたことが勝ちにつながった」という。攻撃はマーク・トラソリーニ(28)が26点、デイビッド・ドブラス(37)が20点と集中したが、守備ではベンチ入り全10選手がコートをフルに動き回った。第3Qは29点奪われたが、第4Qは14失点に抑えて逆転勝利につなげた。

ブラジル時代からコンビを組むディエゴ・ファルカオ・コーチ(37)とともに、8月下旬の帯広合宿からフィジカル強化を徹底してきた。今季チームの根底にあるのは、ネト監督の「オフェンスは頭で考えないといけないが、ディフェンスは考えるものではない。気迫を持って、フィジカルにやるもの」という考え。その上に「想定されやすい(パターン化された)攻撃」(ネト監督)ではなく、選手が考え、だれもが起点となれる攻撃を上積みしている最中だ。

地震の影響でチームはプレシーズンマッチ出場どころか、一時は練習もできなかった。ようやく実現した初実戦に、ドブラスは「チームにとっては非常によいテストだった。改善点もあったが、積み重ねていけばもっと良くなる感触を感じた」という。新監督も選手も目線は同じ。目標は、あくまでも10月6日のリーグ開幕戦だ。「1カ月やってきたことをどれだけコートで出せるか、それを見ながら修正や改善をしないといけない」とネト監督。今日17日も横浜との試合が続く。1つずつ積み重ねていき、新生レバンガを築き上げる。【浅水友輝】