シニアの部57キロ級で、オリンピック(五輪)4連覇を果たした伊調馨(34=ALSOK)が16年リオデジャネイロ五輪以来、788日ぶりの復帰戦を優勝で飾った。

五輪女王が存在感を見せつけた。約2年2カ月ぶりの実戦となった島中斐子(同志社大)との1回戦。開始早々、相手の隙をついて足を取り、バックに回ると回転させ得点を重ね、わずか38秒でテクニカルフォール勝ち。続く準決勝は沢葉菜子(至学館大)と対戦し、バックを取られて先制されたが、その後追加点を重ね、最後は相手の力を利用し、エビ固めからフォール勝ちした。

決勝は望月芙早乃(自衛隊)と対戦。フォール勝ちで優勝を果たした。

準決勝を勝利した時点で、2位以上が確定したため、20年東京五輪につながる12月の全日本選手権(駒沢体育館)の出場権を自力でゲット。2年後の東京五輪での5連覇に向けた最初の大会で最高のスタートを切った。

リオ五輪後、日本協会の強化本部長だった栄和人氏から受けたパワハラ問題が浮上し、騒動に発展したが、自身は今春から行っている日体大での練習に集中した。夏には日体大生と朝、昼、晩の3部練習をこなすなど、復帰に向け、順調に調整を重ねてきた。青森時代の恩師、沢内和興さんは「結構な決意でこの大会に臨んでいる。まだ手探り状態で動きは普通だが、臨機応変にやる選手だから思うようにいっているんじゃないかな」と及第点を与えた。