女子個人総合決勝でエース村上茉愛(22=日体大)が最終種目の床運動で3人を抜く大逆転を演じ、55・798点で銀メダル。66年ドルトムント大会の池田敬子、09年ロンドン大会の鶴見虹子以来となる日本女子史上3人目の個人総合メダルを獲得した。優勝はリオデジャネイロ五輪4冠のシモーン・バイルス(21)だった。

ゴムまり娘が砂漠の地で軽快に弾んだ。最終種目の床運動で完璧な演技。14・000点の高得点が表示され、メダルを確定させると、感無量の涙を浮かべた。昨年の個人総合決勝で落下し、表彰台を逃すことになった鬼門の平均台をノーミスで乗り切ったのが大きかった。

「すごく良かった」。短い言葉に実感を込めた。

苦闘の道程だった。7月の練習中に右足首靱帯(じんたい)を部分断裂し、全治3カ月の診断。内村航平も使う「体外衝撃波」の治療を行い、大舞台に照準を合わせてきた。8月、代表候補だった宮川紗江(19=高須クリニック)が、監督である塚原千恵子強化本部長をパワハラ問題で告発。大会直前には主力の杉原愛子(19=朝日生命ク)腰痛で欠場するなどのトラブルにも見舞われた。

先月30日の団体総合決勝は52年ぶりのメダルはならず6位。主将を務めた寺本明日香(22=ミキハウス)が「本当に申し訳ない」と涙をぼろぼろ流してミスした自分を責める中「(順位は)全員の問題。誰か1人を責める訳でなく、自分たち1人1人が0・1、0・2点を拾っていければいい」と毅然と前を向いた。様々な困難を乗り越えた精神力は大一番にいきた。

昨年の種目別床運動金メダルに続く2年連続のメダル。東京五輪のメダル獲得に向けて最高のアピールとなった。