福岡第一(福岡)が、2年ぶり3度目の高校王者に輝いた。43点差をつけて大勝した。

第1クオーター(Q)、主将の松崎裕樹(3年)を中心にシュートを決め、一時は7点差を引き離す。世代別代表の司令塔、河村勇輝(2年)も積極的に持ち味のスピードを生かした走りからアシストする。中部大第一もタイムアウトから切り替え、準決勝で29得点を稼いだ中村拓人主将(3年)らが奮起し追い上げを見せ、16-12とする。第2Q、松崎が2連続で3点シュートを決めるなどさらに得点を重ね、39-21で前半を折り返す。第3Q、古橋正義(3年)の良好なシュートタッチを見せ、河村も速攻から走り込み、62-31とダブルスコアの差をつける。第4Qも勢いそのままに、頂点に上り詰めた。松崎は「2年前は先輩たちに優勝させてもらって、今年自分たちの代で、3年生や後輩たちを優勝させてあげることができてうれしい」と笑みを浮かべた。

福岡第一ファイブは、盟友の思いも背負って決勝のセンターコートに立った。11月、今大会の出場権を懸けた福岡県予選決勝。ともに高校バスケ界をけん引する強豪、福岡大大濠と出場権を懸けた戦いになった。ここ2大会は、全国高校総体の優勝、準優勝校に割り当てられるウインターカップ出場権にどちらかが該当していたため、両校とも出場してきた。昨年のウインターカップではぶつかり合い、福岡大大濠に軍配が上がっていた。

しかし、今年8月の全国高校総体。U18アジア選手権の日程が被った影響もあり、世代別代表を擁する両校は苦しい戦いを強いられた。福岡第一は初戦で、福岡大大濠は3回戦で敗退。ともにウインターカップの出場権を得られず、県予選で1つの切符を争うことになった。迎えた決勝。最後の最後まで両者しのぎを削る展開になったものの、出場権をつかんだのは79-71で勝利した福岡第一。チーム全体が「(福岡大)大濠のためにも」と奮起し、練習量も増やして今大会を迎えていた。

福岡第一は今大会も1つ1つ丁寧に勝ち上がり、持ち味の攻守の素早い切り替えから走るバスケを貫いた。「僕たちは県の決勝で(福岡大)大濠とやっていたので、ウインターカップ決勝でもあわてることなくできた」と松崎。井手口コーチも「11月3日に福岡の決勝戦で、事実上の決勝戦をやってきた。あの決勝以上の点差をつけて勝つことが使命だと思ってやってきた」。たくさんのチームの思いも背負いながら戦い抜いた。昨年大会福岡大大濠に敗れて4強でとどまった悔しさも晴らし、念願の全国の頂点をつかみ取った。