日本ソフトボール協会の理事会が24日、都内で開かれた。24年パリオリンピック(五輪)の候補から野球・ソフトボールが外れたことに関して、元ソフトボール女子日本代表監督の宇津木妙子副会長が取材に応じ「残念の一言だが『ああ、そうですか』と言うだけではいけない。今後はソフトボールの魅力を伝えられるように、まずは東京五輪を成功させることが1番大事。復興支援がテーマだし、日本が勝つだけでなく、たくさんの人の前でいいゲームをして欲しい」と厳しい表情で語った。

正式決定ではないが、現状ではパリ五輪の種目に選ばれることは厳しい状況。28年のロサンゼルス五輪以降の復活も視野に入れた活動を行っていかなければならない。宇津木氏は「アジア、ヨーロッパへの普及活動も続けていかなければならない。またヨーロッパでの開催となったときに同じことにならないように野球と一緒になってつなげていくために話し合っていかなければ」と話す。

宇津木氏はかねて世界中のソフトボールの普及に携わってきた。先日もアフリカのガンビアを訪問。09年に訪れたときに教えた子どもたちが指導者となり、人口が増えていることに感銘を受けたという。「10年前からずいぶん発展していた。アフリカだけでなく中国、台湾、フィリピンなどもかなり強化していて先を見据えている。ロス五輪のころには日本も抜かれているかもしれないので足元をしっかり固めていかないと」と世界に広がることに喜びを感じながらも自国に関しては危機感を覚えている。

パリ五輪ではソフトボールに代わりブレークダンスが候補に選ばれた。スケートボードやスポーツクライミング、サーフィンなど東京五輪の新種目に続き、歴史の浅いスポーツが五輪種目の候補になった。宇津木氏は「IOCからの人数制限があったときに人数の多い野球・ソフトボールはどうしても不利になる。昨年できたベースボール5という新競技もできたし、バスケットの3on3のように、新しいことをいろいろと考えていかなければ」と語った。

五輪で採用されなかったとしても「ソフトボールがいつまでも続いて欲しい」という宇津木氏の考えの根幹は変わらない。「20年、30年後になるかもしれないが、将来アフリカやヨーロッパ含め世界中で盛んになってくれれば」と話した。厳しい現状ではあるが、ソフトボールが存在する限り、ロサンゼルス五輪、そしてその先まで、宇津木氏は魅力を世界に発信し続ける。【松熊洋介】