右足首負傷からの復活優勝を狙う羽生結弦(24=ANA)が20日、21日の男子ショートプログラム(SP)に向け、会場のさいたまスーパーアリーナで公式練習を行った。

SPとフリーの両演技を確認し、3種類の4回転ジャンプや“4連続ジャンプ”を決めるなど万全の調整。17年4月21日の国別対抗戦(東京)フリー以来、実に699日ぶりの国内公式戦で、2年ぶり3度目の優勝に向けて発進する。

羽生は午後5時5分にリンクに入ると、すでに満席の観覧席から、大歓声を浴びた。外周をゆっくりとスケーティングし始めた瞬間だった。突然3回転ループを跳ぶと、上着を脱いで半袖姿になり、リンク中央へ。開始1分で始めたのはSPの演技。会場内にSP「秋によせて」は流れていない。ただ、羽生の頭の中だけには流れていたのだろう。冒頭の4回転サルコーは踏み切り後、すぐにうまく回転できずやり直し。“2度目のSP”では、4回転サルコー、トリプルアクセル(3回転半)、4回転-3回転の連続トーループを決めた。

その18分後に曲かけの順番がまわってくると、フリー「Origin」をかけて演技。4回転ループを着氷したが、4回転-3回転の連続トーループはミス。ただ直後には、トリプルアクセル-トリプルアクセルの連続技を見せて観客を沸かせた。練習終盤には試合では使えないが、4回転トーループ-トリプルアクセル-オイラー-3回転サルコーの“4連続ジャンプ”を披露すると、この日一番の大歓声を浴びた。

ひやりとした場面もあった。4回転ループを跳ぶ瞬間、負傷していた軸足の右足を滑らせて、あおむけに転倒。負傷箇所が心配されたが、すぐ起き上がり練習を続行。その後、4回転ループを着氷すると納得するかのようにうなずいた。練習最後には、右足を上げたY字バランスも披露した。

昨年6月に長野市でアイスショーを行ったが、国内で行われる大会で演技するのは17年4月の国別対抗戦以来となる。3日連続で練習の観覧席は満席。19日の会見では「練習からお客さんがこれだけ入るのは、日本以外では絶対にない。頑張ります」と誓った。ファンも待望の国内戦。SPは得意の1番滑走。五輪金の14年ソチは4組目、18年平昌は最終組。ともに1番で、最終順位も1番と吉兆。王者奪還へ向けて滑りだす。【佐々木隆史】