2020年東京オリンピック(五輪)チケット入手に向けて大会組織委員会は29日、3つの「お願い」をした。抽選申し込みはこの日午前11時59分に締め切り。混雑緩和のため28日午後11時59分の予定を半日延長したため、混乱なく受付期間を終えた。

抽選結果は6月20日発表で、購入期限は7月2日。史上最大のチケット販売に向け、組織委は「偽メール」「詐欺」への注意を喚起し、購入のためのカードの限度額増額を求めた。

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今月9日の受け付け開始から20日間、482時間の厳しい戦いを終え、組織委の鈴木秀紀チケッティング部長は安堵(あんど)の表情。「多くの方に申し込んでいただき、ありがとうございました」。トラブルはあったが、チケット販売第1弾を終えて頭を下げた。

予想通り、締め切り間際の駆け込みが殺到した。ID登録者は、27日1日で41万増えて約615万件。28日に約100万、さらに29日午前中にも36万増え、最終的には750万8868件にまでなった。公式販売サイトへの累計アクセスも2425万件に達した。

28日夕方から混雑し、午後8時に締め切り延長を決定。「発表後もアクセスが増えたが、延長したことで緩和できた」と鈴木部長。午後11時30分にはウェイティングルーム(待合室)に最大の101万人が待ち、3時間30分待ちとなった。9日は18万人で大混乱になったが、システム増強などで乗り切り、次は発表、購入。過去最大規模のチケット販売が過熱するだけに、組織委も注意点をあげた。

(1)偽メールに注意 6月20日(時間未定)に申込者全員に抽選結果通知メールが届くが「tokyo2020」以外のドメインは偽物。「URLも貼り付けない」と鈴木部長。

(2)詐欺行為ダメ 抽選結果通知はメールのみ。「手紙や電話で連絡することはないので、それらの場合は詐欺を疑ってほしい」と鈴木部長は強調した。

(3)カード限度額に注意 当選チケットは一括購入が条件。30万円未満はコンビニ払いもできるが、それ以上はVISAカードのみ。限度額を超えた場合はカードが使えず、すべて無効になる。「限度額を確認してほしい」と鈴木部長。無効となった場合、キャンセル同様にパラのチケット抽選に当たりにくくなるなどペナルティーが検討される。

申し込み数、総枚数などは公表されず、鈴木部長は「今後の販売戦略にも関わるため」と説明した。今回抽選対象となるのは全競技だが、残券は秋以降の先着順販売、さらに20年春以降の販売所販売へと回る。招致段階で780万枚とされたチケットの争奪戦は、まだ始まったばかりだ。