【ニューヨーク=吉松忠弘】2連覇を狙う世界1位の大坂なおみ(21=日清食品)が、15歳の天才少女を迎え撃つ。7月のウィンブルドンで予選から勝ち上がり16強入り。

今大会も主催者推薦で勝ち上がってきたコリ・ガウフ(米国)との3回戦は、前半戦最大の注目カードが組まれる土曜日夜の部・第1試合(日本時間1日午前8時)に組み込まれた。男子シングルス3回戦で世界7位の錦織圭(29=日清食品)は同38位のアレックス・デミノー(オーストラリア)に2-6、4-6、6-2、3-6で敗れた。9日発表予定の最新世界ランキングで8位以下になることが確定した。

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大坂は注目カードの前日、練習予定を入れず。休養に充てたようだ。すでに3回戦が夜の部だと見越し、時間があるため疲労を取ることを優先させたのだろう。「みんなが注目している選手と1度は対戦したい。自分を測る尺度になる」。はやる気持ちを抑える冷静さだ。

対照的にガウフは、若さあふれるエネルギーでこの日、ダブルスに出場した。マクナリー(米国)とのペアでストレート勝ち。「ダブルスは、速い展開が必要。なおみは強打で知られるから、その準備になった」。疲れも見せず、翌日の予行演習だ。

両者のプレースタイルは対照的だ。今大会は安定性と強打の融合を見せている大坂だが、持ち味のパワー・ショットが基本だ。対するガウフは徹底した守備型。どんな球も返球し、相手を根負けに追い込む。加えて、振られた時はカウンターの切り返しもある。

プレースタイルだけではない。2人のテニス経歴も対照的だ。ジュニア時代、大坂は国際テニス連盟主催のジュニア世界ツアーに1度も出場していない。全くの無名だった。対するガウフは14歳の昨年、18歳以下のジュニアで世界女王となった。全仏ジュニアも制したエリートだ。

シンデレラ・ストーリーのように無名の存在から世界の頂点をつかんだ大坂。13歳で、すでに将来を期待されていたエリートのガウフ。大坂が「対戦が楽しみ」と言えば、ガウフは「勝ちに行く」。世界のテニス界注目のカードが幕を開ける。